観客数85%減で「映画業界崩壊の危機」...韓国の映画界が政府の緊急支援求める声明
観客数85%減で「映画業界崩壊の危機」...韓国の映画界が政府の緊急支援求める声明
  • The New Stance編集部
  • 承認 2020.03.26 18:05
  • コメント 0
記事を共有します

新型コロナウイルス感染症拡大のあおりを大きく受け、一日の観客数が15%にまで落ち込んだ韓国映画界。業界の危機を前に政府の緊急支援の必要性を訴えた。

「昨年に比べ売り上げが80%減少」

25日、韓国の映画業界の主要団体は声明文を発表し、新型コロナウイルス感染症拡散の直撃を受けた映画業界への緊急支援が必要だと訴えた。

声明は『コロナ対策映画人連帯会議』の名義により発表された。同会議には、▲韓国映画プロデューサー組合、▲韓国映画監督組合、▲映画団体連帯会議、▲映画輸入配給者協会、▲韓国上映館協会、▲韓国映画マーケティング社協会、▲女性映画人の会、▲韓国映画デジタル流通協会、▲韓国映画撮影監督組合、▲芸術映画館協会、▲韓国映画制作家協会、▲CGV、▲ロッテシネマ、▲MEGABOX、▲CINEQなど主要団体が軒並み名を連ねている。

声明書で同会議は「韓国の映画産業は絶体絶命の危機」とし、その一例として「一日2万人内外で、昨年に比べ85%減少し歴代最低値を記録している」点を挙げた。さらに、「韓国映画産業の全体の売り上げのうち、映画館による売り上げが80%を占める状況で、映画館の売り上げ減少はそのまま映画産業全体の崩壊を意味する」と危機感を述べた。

そしてこうした事態が続く場合、「大量の失業という事態を招き、これにより韓国映画の急激な競争力低下につながることは明白だ」とし、「今後、全世界の市場を対象に韓国映画を拡散するどころか、その間積み重ねてきた韓国映画の位相までもが一瞬にして崩れる可能性が高い」と見立てた。

(ソウル=聯合ニュース)閑散とした映画館。
(ソウル=聯合ニュース)閑散とした映画館。

なお、映画振興委員会によると韓国の2019年の総観客数は2億2,668万人。しかし1月から3月までの観客数は1,680万人となっている。さらに3月は25日まで、わずか27万6,248人しか映画館に足を運んでいないなど悪化をたどっている。映画館大手CGVは26日、28日から全国116の映画館のうち、35の映画館の営業を中断すると明かした。

同会議の声明書は、こうした状況にもかかわらず「政府の支援から除外されている」とした。

そして政府の文化体育観光部と映画振興委員会に対し、▲映画産業を特別雇用支援業種に指定する、▲被害支援のために政府の金融支援政策、▲政府の支援予算を編成し、映画発展基金または支援費用として緊急に投入すべき、と訴えた。

この声明書を報じた聯合ニュースは、韓国映画プロデューサー組合のチェ・ジョンファ代表の「現在、映画館だけでなく、制作社、マーケティング会社など映画産業の全体が大きな打撃を受けているのにもかかわらず、映画産業を軽視しているようだ」とのコメントを伝えている。

聯合ニュースではまた、「政府と公共機関は、一時的に解雇されたりコロナ19により職場を失った映画人の雇用支援金を即時に支給すべきだ。今年の政府予算案に編成された映画発展基金は1015億ウォン(約91億円)ある。今すぐ重点事業の方向を緊急支援に変更すべき」という、韓国映画監督協会の別の声明もあると報じた。

一方、韓国映画振興委員会は支援業務を担当するタスクフォースを組織した。担当者は聯合ニュースに対し「委員会の業務が、韓国映画の制作・配給・上映支援事業が中心であったため、コロナ19拡散という未曾有の危機状況に機敏に対応できなかった。今後は窓口を一本化し、効率的な支援を行う」と語った。

以下は声明書全文。翻訳は「ニュースタンス」が行った。

『コロナ19により映画産業崩壊の危機、政府の支援が切実だ』

韓国映画100年、そして映画『パラサイト』のカンヌ黄金奨励賞(グランプリ)、アカデミー作品賞の受賞により韓国映画は全世界で位相を高めることとなった。しかしこの喜びに浸る前に韓国映画産業はコロナ19という抜け出すことのできない巨大な波に出会った。韓国の映画産業は今、その深さすら知ることのできない深淵に引きずり込まれる絶対絶命の危機を迎えた。

実際にコロナ19の事態が始まって以降、韓国の映画産業の生態系は崩れている。映画の観客は一日2万人内外で、昨年に比べ85%減少し歴代最低値を記録している。韓国映画産業の全体の売り上げのうち、映画館による売り上げが80%を占める状況で、映画館の売り上げ減少はそのまま映画産業全体の崩壊を意味する。

すでに映画関連企業は、これ以上耐えられずに一つ二つと家族のような職員たちに別れを告げている。映画産業の危機は結局、大量の失業という事態を招き、これにより韓国映画の急激な競争力低下につながることは明白だ。今後、全世界の市場を対象に韓国映画を拡散するどころか、その間積み重ねてきた韓国映画の位相までもが一瞬にして崩れる可能性が高い。

こんな状況にもかかわらず、韓国の映画産業は政府の支援から完全に無視されている。映画政策を担当している文化体育観光部と映画振興委員会は映画産業の至急性を認識できていないようだ。このまま時間が経つ場合、映画産業全体が共倒れになるという危機感を持って、今すぐ政策を実行するときだ。以上により、文化体育観光部と映画振興委員会に次のような内容を建議する。

1.映画産業を特別雇用支援業種に指定するべき
ー映画業界の数万の従事者たちが失業する危機に直面している。しかし彼らに対する保護策はどこにもない。
ーコロナ19長期化に備え、映画人たちの最小限の生存権の保障のため政府の対策が必要だ。

2.映画産業の被害支援のために政府の金融支援政策を今すぐに施行しなければならない。
ー映画業界の多くの企業は現在、コロナ19の被害による連鎖倒産の危機に追い詰められている。
ー多様な金融支援を通じ、倒産の危機を防がなければならない。

3.政府の支援予算を編成し、映画発展基金または支援費用として緊急に投入するべきだ。
ー補正予算およびコロナ19緊急支援策のどこにも、映画産業のための予算は含まれていない。
ー映画発展基金などの財源を活用した映画界への緊急支援が必要だ。
 


関連記事