京畿道知事が北朝鮮に防疫・医療支援、水害復旧など協力事業提案
京畿道知事が北朝鮮に防疫・医療支援、水害復旧など協力事業提案
  • 徐台教(ソ・テギョ) 記者
  • 承認 2020.09.17 18:02
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李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事が17日、同道が主催する『DMZフォーラム』の冒頭で、朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)に対し5つの協力事業を提案した。韓国最大の自治体であり、北朝鮮との接境地帯を持つ同道の提案に北朝鮮がどう答えるか注目される。
『DMZフォーラム』のバナー。フォーラムはすべてオンラインで行われる。
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◎5つの提案…「対話の準備はできている」

昨年に続き開催される『DMZフォーラム』の今年のテーマは「DMZは平和を望んでいる」というもの。

朝鮮半島における「DMZ(demilitarized zone)」とは、南北軍事境界線を境に南北2キロの区間を指す。1953年7月の朝鮮戦争の停戦協定により定められ、それから67年が経つ今も維持されている。このDMZが象徴する軍事的な対立、緊張関係をいかに終わらせることができるか、さらに南北平和協力とDMZの平和的活用をどう行うかについて、各国専門家たちが議論を重ねる。

今年は新型コロナウイルスのため、オンラインで開催されている(DMZフォーラムサイト:http://www.dmzforum.or.kr/2020/)。李在明知事は17日、基調演説の中で「これからは、消極的で不安定な平和ではない、積極的で恒久的な平和が私たちの日常になるようにしなければならない」と述べた。

李知事はさらに、2018年4月に板門店で韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長が行った首脳会談など、一連の南北会談に触れつつ「そのように平和を作ってきたが、平和を守ることは簡単ではなかった」と述べた上で、「それでも諦めることはできない。正しい道なら試練と苦難があっても進むべき」と強調した。

続いて李知事は北朝鮮に以下の5つの協力事業を提案した。(1)南北共同防疫および医療協力、(3)臨津江(イムジンガン)水系管理協力、(3)接境地事業についての南北共同調査・研究、(4)南北共同山林復元および農村総合開発、(5)北朝鮮の水害復旧の支援、だ。

京畿道は同日、報道資料の中でそれぞれについて説明した。詳しくみると、(1)はアフリカ豚コレラや新型コロナウイルスなど、国境を越える伝染病や感染病の被害を防ぐために、開城市一帯に「共同医療・保健防疫センター」の設立を提案するものは。

(2)は水害の防止と統合的な水の管理のために「南北水系管理機構」を設置するものだ。これにより、北側は水不足の予防と電力難の解消をもたらし、南側は洪水被害を防げるとした。

(3)は、漢江河口の南北共同水路調査の再開と、「西海経済共同特区」造成事業の履行だ。こうした内容については、07年10月の『10.4南北共同宣言』や18年4月の『板門店宣言』、そして18年9月の『南北軍事合意書』を通じ南北が合意している。

(4)は、京畿道が独自に進めるものだ。地方自治体としてはじめて国連安保理による北朝鮮制裁における免除承認を受けた、「スマート温室」と養苗場事業を呼びかけるものだ。モデルケースとなる農村造成を呼びかけている。

(5)は、最近の度重なる水害への支援だ。北朝鮮は今年、過去25年で2度目に多い降水量を記録し、台風3つが相次いで上陸するなど、各地で水害が相次いでいる。

李在明知事はこの日、こうした提案をすると共に「京畿道はいつどこでも対話の準備ができている。5つの提案を実現するためには北側の参加が必ず必要であるため、大きな決断を期待する」と述べた。

北朝鮮側は2019年の下半期以降、韓国政府機関との対話の門を閉ざしている上に、今年6月の北朝鮮による南北共同連絡事務所の爆破によりその溝はさらに深まっている。今回の呼びかけにどう応じるかは未知数だが、肯定的な返事がある場合には、南北関係の風向きが変わるきっかけとなり得る。


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