韓国政府が、就労制限ビザや新型コロナにより帰国困難な事情で韓国内に滞在する外国人に対し、農村での勤労を認める決定を下した。背景には人手不足に悩む農村と、新型コロナで新規外国人の訪韓が難しい事情がある。

●約8万人が対象
韓国の法務部は15日、「国内滞留外国人の一時的な季節勤労制度」を施行すると明かした。
就労が認められない訪問同居(F−1)・同伴資格(F−3)で滞在駐の外国人、滞在期間が満了したが新型コロナウイルス感染症による渡航制限で出国できない訪問就業(H−2)同胞と家族、非専門就業(E−9)資格の外国人など7万9000人あまりが対象となる。
「外国人季節勤労者制度」とは、農漁村の繁忙期の人手不足を解決するため、外国人を短期間合法的に雇用する制度だ。韓国政府が2015年から導入している。
韓国の地方自治体と契約した外国の地方自治体の住民や、結婚移民者の国内外の親戚、外国国籍同胞の国内の親戚が招請対象となっている。勤労機関は90日または5か月だ。
2019年には54の自治体が5267人の勤労者の割り当てを申請し、実際には50の自治体で3497人が働いた。最低賃金以上の給与を受け取り、労災保険の加入も義務づけられ、宿泊施設も提供されるといった「好待遇」を政府は掲げている。
今回の決定により、地方自治体により季節勤労の対象者として選ばれ出入国機関の許可を得た外国人は、今年3月2日から来年3月31日まで、最長で13か月間の季節勤労を行える。21年上半期の季節勤労者は37の自治体で4631人とのことだ。
法務部は今回の決定の背景について、「農・漁村の人手不足が深刻な状況で、新型コロナ拡散の長期化により外国人の季節勤労者が新たに入国することが困難な状況を考慮した」と説明している。
また、90日以上季節勤労に参加した在外同胞と外国人は、今後の再入国・在留資格変更時の手続き簡素化、手数料免除、加算点付与などの恩恵を受けると法務部は明かした。
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