「毎日が苦しい」…改善されないソウル市内公共病院の看護師不足、背景に新型コロナ
「毎日が苦しい」…改善されないソウル市内公共病院の看護師不足、背景に新型コロナ
  • The New Stance編集部
  • 承認 2021.02.19 06:31
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新型コロナウイルス感染症の拡散から1年が過ぎる中、ソウル市内の公共病院ではたらく看護師たちが「3人ですべての病室を掃除している」、「新型コロナの患者はどこに行くのか」と、厳しい現状を改善することを求める声を挙げた。
18日、ソウル市内で会見を行う看護師たち。会見は医療連帯本部が主催した。聯合ニュース提供。
18日、ソウル市内で会見を行う看護師たち。会見は医療連帯本部が主催した。聯合ニュース提供。

●「危機対応病棟が運営されず」

ソウル大病院・ポラメ病院・ソウル医療院で勤務する看護師達は18日、ソウル市内で記者会見を開き、「適正な看護人員が現場に配置されておらず、深刻な人手不足に陥っている」と訴えた。

この3つの病院のうち、ソウル大病院とポラメ病院はいずれも国立(同じ特殊法人が運営)で、ソウル医療院はソウル市による医療施設だ。

会見ではソウル大病院のチェ・ウニョン看護師が「ソウル大病院に16の危機対応病棟が設置されているが、病院側の人手が足りず患者1人だけを受け入れた後は運営できていない」とし、「今日だけで新型コロナ確診者が600人以上発生したのに、この人たちがどこに行けばよいのか分かる人がいない」と述べた。

韓国ではその日の0時から24時まで全国で新型コロナに感染していると判断された患者(確診者)を、翌日午前10時に発表するシステムを一貫して採用しているが、2月17日の確診者は621人(国内590人、海外からの流入31人)だった。

また、同じくソウル大病院で働くパク・ギョンドゥク医療連帯本部ソウル地域支部長は、「ソウル市は公共病院の看護師たちが指示を下せば動く労働者と思っている」と指摘し、「災難病院を運営するとしているが、看護師をどこから連れてくるのかについての知らせはない」と語った。

医療連帯とは、韓国最大の労働組合連合体である「全国民主労働組合総連合(民主労総)」の傘下にある、医療関係者の労働組合だ。

会見ではさらに、新型コロナ下での病院の実情を訴える声も出た。

ポラメ病院のキム・ギョンオク看護師は「ポラメ病院は看護師が(新型コロナ)確診判定を受けるや、共に勤務していた一部の人員を職務から排除し、看護師の数を減らし病棟に投入した」と説明し、「夜間勤務を行うあいだ、看護師3人がすべての病室を掃除し、患者を受け入れた」と内情を明かした。

この日集まった看護師たちは口を揃えて「どうか現場の声を聞いて欲しい」と述べ、看護師を追加してくれるよう要求した。

前出のチェ看護師は「認知症の患者や寝たきりの患者が一人でもいる場合、排泄物を管理したり食事をさせたりする中で、他の患者の歯を磨いてあげることもできない」と具体的な現状を挙げた。

また、やはり前出のパク支部長は「新型コロナ拡散の状況から1年が過ぎており、看護師たちは毎日をとても苦しみながら働いている。今すぐ、人員の投入が必要だ」と強調した。ポラメ病院では276人の看護師が不足しているという。

この日会見を開いた看護師たちは、先月19日にも同様の会見を開き「政府は看護師に献身だけを強要している」と、改善を訴えていた。


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