
●「北朝鮮版イスカンデル」か
韓国の合同参謀本部は25日、「午前7時6分と同25分頃に北朝鮮の咸鏡南道咸州一帯で、東海(日本海)上に発射された短距離ミサイル2発を捉えた」と明かした。
今回の発射体の飛行距離は約450キロ、高度は約60キロで、詳細については米韓情報当局が分析しているとした。
同本部はまた、「現在、韓国軍は追加の発射に備え、関連した動向を綿密に注視しながら徹底した対備態勢を維持している」と発表した。
韓国国防部は現時点まで、弾道ミサイルであることを正式に認めていないが、軍関係者は聯合ニュースに「米韓の情報当局は、今回のミサイルが地上から発射された短距離弾道ミサイルである可能性に重きを置いている」とコメントしている。
この軍関係者はまた、北朝鮮の金正恩国務委員長が発射現場に立ち会った可能性について、「説明する内容がない。断定的に捉えない方がよい」と答えている。
もし金正恩氏が立ち会っている場合、明日26日に北朝鮮メディアが報じるものと見られる。
一方、日本や米国の当局は早期に弾道ミサイルと明かしている。菅義偉首相はこの日、日本の記者団に対し「北朝鮮が弾道ミサイル2発を発射した」と語り、米CNNも政府高官を引用し、発射体が弾道ミサイル2発であることを伝えた。
弾道ミサイルの発射は、昨年3月29日、江原道元山(ウォンサン)市で「超大型放射砲(ロケット砲)」を発射して以降、約一年ぶりとなる。
発射したミサイルの内容については、韓国政府は「未だ分析中」と発表している。北朝鮮の軍事問題に詳しい北韓大学院大学の金東葉(キム・ドンヨプ)助教授は、自身のFacebookページを通じ「北朝鮮版イスカンデルミサイル(KN23)の可能性が最も高い」と見立てている。
●「バイデン会見を意識」との見方
今回の発射を受け、韓国は国家安全保障会議(NSC)を25日の朝9時に開催した。青瓦台(大統領府)はその後発表した報道資料の中で、「米国の対北朝鮮政策の検討が進む中でミサイル発射が行われたことに対し、深い憂慮を表明する」とした。
一方、日本の菅首相は同日8時過ぎにNSCを主宰し、その後の略式会見で「昨年3月29日以降、約1年ぶりのミサイル発射は、日本の地域の平和と安全を脅かし、国連安全保障理事会決議を違反するもので、厳重に抗議し非難する」と強いコメントを発した。
米国政府の公式な反応はまだ出ていないが、韓国の外交部の関係者は聯合ニュースに対し「米国も強い警戒心を持って事態を見守っている」と明かしている。
今回のミサイル発射の背景については、「北朝鮮が存在感を示した」、「米で新政権が発足した際の恒例行事」といった様々な分析がある。また、25日(現地時間)に予定されているバイデン大統領の記者会見に合わせたとの見方もある。この会見で、バイデン政権の北朝鮮政策が発表される予定だ。