[全訳] 第76周年光復節慶祝辞(2021年8月15日、文在寅大統領)
[全訳] 第76周年光復節慶祝辞(2021年8月15日、文在寅大統領)
  • The New Stance編集部
  • 承認 2021.08.15 12:58
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韓国では日本の植民地支配から解放された1945年8月15日を記念し、この日を「光復節」と呼び祝っている。毎年行われる記念式典で大統領が行う演説は、国政や外交に関する重要なメッセージが込められることが多い。とりわけ今年は、文在寅大統領が在任最後の光復節を迎え、朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)へのメッセ−ジなどが注目されていた。この日の演説を全訳する。
8月15日、光復節慶祝式典で演説する文在寅大統領。公営放送KTVをキャプチャ。
8月15日、光復節慶祝式典で演説する文在寅大統領。公営放送KTVをキャプチャ。

●第76周年 光復節 慶祝式 
〜永遠(とわ)に保全しよう〜

尊敬する国民の皆さん、
独立有功者と遺家族の皆さん、
海外同胞の皆さん。

光復76周年を迎えた今日、とうとう洪範図(ホン・ボムド)将軍の遺骸が故国に到着します。
洪範道将軍は、歴史的な鳳梧洞の戦いと青山里の戦いを勝利に導いた大韓独立軍司令官であり、後日、カザフスタンの高麗人同胞の精神的な支えとなりました。
将軍の遺体を返還するための政府の外交努力が身を結びとても嬉しいです。
物心両面で協力してくださったカザフスタンのトカエフ大統領と 高麗人同胞たちに深く感謝します。

光復直後の1946年、 尹奉吉(ユン・ボンギル)義士と李奉昌(イ・ボンチャン)義士をはじめ洪範図将軍まで、愛国志士144人の遺骸が故郷の山河に戻ってきました。
独立の英雄たちを祖国に迎えることを国家と後代が当然果たすべき責務であり、栄光としながら最後まで最善を尽くします。

私たちの先烈たちは、いかなる困難の中でも自主独立の夢を失わず、どこでも暮らしの基盤を築き上げながら独立運動を展開しました。
その強靱な意志が後代に受け継がれ、今も国難克服の力となっています。
先烈たちと独立有功者、遺家族の皆さんに深く尊敬と感謝のご挨拶を申し上げます。

国民の皆さん、

本日の記念式典が開かれる「文化駅ソウル284」は、日帝強占期には痛みと涙のある場所でした。
わが地で生産された物資が収奪され、ここから運び出されました。
苦難の旅に出る独立志士と土地を失った農民がここで祖国と別れ、花のような若さを後にして戦場に駆り出される学徒兵たちとその家族が、ここで涙を流しました。

しかし、光復と共に駅と広場は夢と希望の空間になりました。
満州と沿海州から出発した汽車は、故郷に帰ってくる人で一杯でした。
釜山、仁川、群山をはじめとする港町も希望に満ちた帰郷民でにぎわいました。

光復の感激とその日の希望は、今も私たちの未来です。
皆が新しい国を建てようという夢で胸が一杯になりました。
母や父は子供の教育に力を注ぎました。
全国で145万人だった小中高校生が解放後わずか2年で、235万人と60%以上増えました。
熱い教育熱から義務教育が始まり、優秀な人材が大韓民国の成長における動力となりました。

農産物の生産も大きく増加しました。
日本の収奪により抑えられていた作物の生産量が農地改革以降に急増しました。
1970年代になって植民地時代の3倍に増え、ようやく春窮期を乗り越えました。

「私たちも一度、豊かに暮らしてみよう」という国民の意志は、1960年代の経済開発5か年計画から経済・社会開発計画、新経済計画とIT産業の育成、グリーン成長と創造経済につながり、世界10位圏の経済大国に上り詰める土台となりました。
2017年に3万ドルを超えた一人当たりGDPも昨年、G7諸国を超えました。

自主国防は過去100年間、韓国の切実な夢でした。

陸軍は独立軍と光復軍の精神を受け継ぎ、世界最高水準のK2戦車、K9自走砲、K21装甲車を運用する「先端強軍」へと成長しました。
日本軍が捨てていった警備艇と錆びた戦艦で創設した海軍は、イージス艦を含む駆逐艦9隻、潜水艦19隻など計150隻余りの艦艇を運用する大洋海軍となりました。

1949年、20機の軽飛行機しか備えられなかった空軍は、世界で8番目となる先端超音速戦闘機KF-21を自社開発し、強力な宇宙空軍として飛翔しています。

私たちは今、総合軍事力で世界6位にとなった軍事強国です。
第4次産業革命と宇宙時代の新しい安全保障環境に備え、誰も見くびることのできない防衛力を築いています。

白凡・金九先生は、「高い文化の力を持つ国」を夢見ました。
今日、韓国の文化芸術は世界を舞台にその願いをかなえています。
BTSは新曲が続けてビルボード順位1位を守るという、初の記録を打ち立てています。
映画『寄生虫』は、カンヌ映画祭やアカデミー賞を席巻し、俳優の尹汝貞さんはアカデミー助演女優賞を受賞しました。

K-POPと映画だけでなく、ゲーム、ドラマ、webトゥーン、アニメーションをはじめとする様々な分野のコンテンツが世界中で愛されており、昨年の輸出額が史上初めて100億ドルを突破しました。
私たちの文化・芸術の高い力量は、現代的で大衆的な分野にとどまりません。
クラシック音楽やバレエのような伝統文化・芸術分野でも、私たちの文化人や芸術家が成し遂げたものは卓越しています。
伝統と現代をバランスよく受け入れた韓国の文化人や芸術家たちが、創造性と情熱をもって成し遂げたのです。
文化と芸術を愛するわが民族の底力です。

国民の皆さん、

私たちはいつも新しい夢を見ました。
夢を失わなかったのでここまで来ました。
独立と自由、人間らしい暮らしに向けた夢が解放をもたらしました。
今年6月、国連貿易開発会議は満場一致で、開発途上国の中で初めて韓国を先進国に格上げしました。
ついに先進国となった私たちは、再び夢を見ます。
平和で品格のある先進国になるという夢です。
国際社会で自らの役割を果たす国になるという夢です。

私たちは誰も歩まなかった道を開いてきました。
植民地と第三世界の国家から始まり、開発途上国の「新しい成功モデル」を生み出しました。
私たちの成長経験を開発途上国と共有できるということが、私たちだけが持つ最大の強みになりました。
コロナの激しい挑戦に立ち向かい、韓国の国民が持つ高い共同体意識の力を見せ、人類が危機を克服する模範となりました。

私たちには祖先から受け継いだ、強靭な「共生と協力の力」があります。
植民地支配の屈辱と差別、暴力と搾取を経験しても、私たちの祖先は解放空間で、日本人に対する復讐の代わりに包容を選択しました。
私たちはいつも夢を叶えるために心を一つにしました。
危機の前ではさらに力を合わせました。
互いに力になり、多くの危機を機会へと反転させてきました。
共生と協力の力があるからこそ、私たちは新しい夢に向かって進み、ポストコロナ時代をリードすることでしょう。

‘ろうそく革命’で国民がともに見た夢は、「国らしい国」、「共に豊かに暮らす国」でした。
我々は週52時間制と最低賃金の引き上げ、ILO核心協約の批准により、労働基本権を拡大しています。
雇用保険の拡大と基礎年金の引き上げ、健康保険の保障性強化と「認知症国家責任制」をとり、私たちの社会の包容性を高めています。

新型コロナの危機に対してもやはり、どの先進国よりも安定的に克服しています。
デルタ変異株の拡散による4次流行も必ず勝ち抜くでしょう。
ワクチン接種も目標に近づいています。10月には国民の70%が2次接種を完了し、目標接種率をさらに高めます。

私たちは共に回復し、共に跳躍します。
新型コロナによる小商工人の被害を厚く補償し、良質な雇用の創出と社会的弱者層の雇用機会を増やすことに全力を尽くします。
低所得層の生計支援を拡大し、格差を減らす、包容的な回復を目指します。

世界秩序が新しく形成されています。
大韓民国は歴史の重要な分岐点に立ち、 先導的な国家として成長する機会を迎えています。
先導型経済はクリエイティブなアイデアを核心的な競争力とする経済であり、人を中心に成長する経済のことです。

昨年までユニコーン企業が15社に増え、今年上半期のベンチャー投資が歴代で最大の実績を記録するなど、第2次ベンチャーブームが広がっています。
造船受注世界1位、自動車世界5強、メモリー半導体に続き、システム半導体とバッテリー、バイオでも善戦し、歴代最高の輸出記録を塗り替えています。
政府は経済に、革新と共生と包容の価値を与え、より強くしていきます。

2025年までに総額220兆ウォンを投資する韓国版ニューディールは、「人」が中心となる「革新的包容国家」へのロードマップであり、新たな飛躍を遂げる国家の発展戦略です。
政府は、韓国版ニューディールにデジタルニューディール、グリーンニューディールと共に、ヒューマンニューディールをもう一つの軸として立てました。

全国民雇用保険、生計給与における扶養義務者基準の全面廃止など、セーフティネットを細かく構築し、人への投資を通じて、デジタルとグリーンへの転換を導いていきます。
ソフトウェアと人工知能をはじめとする未来の人材養成を通じて、若者に良い雇用を提供していきます。
デジタルとグリーンへの転換の過程で立ち遅れる国民がいないよう、公正な転換にも努めます。

私たちの政府が追求してきた国家均衡発展の夢は、地域均衡ニューディールを通じて行われます。
地方財政の分権をさらに強化し、「東南圏メガシティ」のような超広域協力モデルの成功と拡散を通じ、首都圏に集中する傾向を反転させなければなりません。
景気が早く、強い回復傾向を見せているものの、まだその温もりが及ばない場所が多いです。
経済回復の恩恵を皆に分けて 、「ともに豊かに暮らす国」という夢を、必ず体感できる現実を作ります。

品格のある先進国になる第一歩は、尊重し、配慮する文化です。
差別と排除ではなく包容と寛容の社会へ 、もう一歩前進していかなければなりません。
社会的な弱者に配慮し、お互いの立場と考えが異なることを認めて尊重する時、私たちの社会は
品格のある国、尊敬される先進国へと進むことができるでしょう。

尊敬する国民の皆さん、

私たちは先進国に跳躍する過程で国境を越え、共生と協力を実践してきました。
開放と通商国家の道を歩み、世界7大輸出大国に成長し、世界経済の発展に寄与しています。
韓国政府になっても、RCEP(地域的な包括的経済連携協定)をはじめ、インドネシア、カンボジア、イスラエルとFTAを妥結し、協力の幅を広げました。

世界が共に取り組まなければ新型コロナに勝てず、気候危機を克服することができません。
大韓民国は、先進国と開発途上国の共生協力を導く、架け橋国家としての役割を果たしていきます。
大韓民国がG7サミットに2年連続で招待されたのは、新しい世界秩序の胎動を意味します。

開放と協力によって育まれた私たちの能力を基に、新型コロナ危機克服と共に、新型コロナ以降の世界経済再建と平和秩序に積極的に貢献します。
特に、開発途上国から先進国へと発展した韓国の成長経験と、韓流文化、K−防疫を通じて培ったソフトパワーを土台に、新しい時代の価値と秩序形成をリードします。

まず、「ワクチンハブ国家」として跳躍します。
私たちは世界第2位のバイオ医薬品生産能力、韓米ワクチンパートナーシップなどに基づき、人類共同の感染症危機克服をリードしていきます。
5日に発足した「グローバルワクチンハブ推進委員会」が中心となり、 ワクチンの原・副資材の開発から需給まで集中的に支援します。
来年上半期まで国産の第1号ワクチンを商用化できるよう、政府が企業と共に進みます。

次に、グローバルサプライチェーンで、私たちの役割をより一層高めます。
世界最高の競争力を持つ半導体とバッテリー産業は、私たちがグローバルサプライチェーンの安定に貢献できる分野です。
技術格差をさらに広げ、グローバル先導基地の地位を強固にします。

最後に、気候危機への対応において、私たちの責任を果たします。
私たちは昨年、「2050炭素中立宣言」という新しい道標を立てました。
環境のために自発的に実践してきた韓国の国民と、ESG経営に積極的に乗り出した企業の努力があったため、立てることができた道標です。
政府は5日に発表した「2050炭素中立シナリオ」に基づき、国民の世論を幅広く集め、今年中に、実現可能な2030年削減目標を公約し、 国際社会の一員として責任を果たします。

「2050炭素中立」は決して簡単ではない目標ですが、だからといって負担にだけ思う必要はありません。
炭素中立のための全世界的な社会・経済的な大転換は、今まで類を見ない新たな革新を起こし、
多くの雇用を作り出すでしょう。
韓国が先導的国家として跳躍できる絶好のチャンスでもあります。
政府はエコカーとバッテリー、水素経済を未来の成長動力として育て、石炭発電を減らしながら太陽光、海上風力のような新・再生可能エネルギーを拡充しています。
私たちが先に進んでいる分野を中心に、先導的に低炭素経済への転換を推進していきます。

国際的な連帯と協力の幅も広げていきます。
特に石炭火力発電への依存度が高い開発途上国のエネルギー転換を助け、私たちの「グリーンニューディール」経験とグリーン技術を共有します。

尊敬する国民の皆さん、

解放翌日の1945年8月16日、民族の指導者・安在鴻(アン・ジェホン)先生は、三千万の同胞に捧げる放送演説を行いました。
朝鮮建国準備委員会の副委員長だった先生は、敗戦した日本と解放された韓国が同等で互恵的な関係を築こうと提案しました。
植民地民族の被害意識を超える、実に大胆で包容的な歴史意識と言わざるを得ません。
解放により民族意識が高揚した時期でしたが、私たちは閉鎖的で敵対的な民族主義に流れませんでした。

アジアを越えて世界の平和と人類の幸福を追求することは、三・一独立運動の精神です。
大韓民国臨時政府と解放された国民たちが実践してきた、偉大な建国の精神です。
大韓民国は常にその精神を守ってきました。

韓日両国は、国交正常化以降長い間、民主主義と市場経済という共通の価値を基に、分業と協力による経済成長を共に成し遂げることができました。
これからも、両国が共に進むべき方向です。

韓国政府は両国の懸案はもちろん、新型コロナや気候危機など世界が直面する脅威に共同で対応するための対話の扉を、いつも開いています。
正すべき歴史問題については、国際社会の普遍的な価値と基準に合った行動と実践をもって解決していきます。
日韓両国が知恵を集め、困難を共に克服し、隣国らしい協力の模範を示せるよう期待します。

今年は南北が国連に同時加入してから30年になる年です。
その1年前の1990年、東ドイツと西ドイツは45年間の分断を終え、統一を成し遂げました。
東ドイツと西ドイツは信義と善意をやり取りしながら信頼を築き、普遍主義、多元主義、共存共栄を追求する「ドイツモデル」を作り出しました。

また、過去に対する真摯な反省として、統一に対する周辺国の懸念を克服し、世界の普遍的価値と基準を導くEUの先導国になりました。

韓国にとって分断は、成長と繁栄の最も大きな障害であると同時に、恒久的な平和を妨げる強固な障壁です。

私たちもこの壁を取り払うことができます。
たとえ統一にはより多くの時間がかかるとしても、南北が共存し、韓半島(朝鮮半島)の非核化と恒久的な平和を通じて東北アジア全体の繁栄に寄与するという、「韓半島モデル」を作り出すことができます。

「東北アジア防疫・保健協力体」は現在、情報共有と医療防疫物品の共同備蓄、新型コロナ対応人材の共同訓練など、協力事業を話し合っています。

新型コロナの脅威が決して一時的ではないことが明らかになった今、その重要性はますます高まっています。
協力を拡大しつつ、東アジア生命共同体の一員である北朝鮮も、共に参加できるよう努力していきます。

韓半島の平和を強固に制度化することこそ、 南北みなに大きな利益となります。
特に、大韓民国がいわゆる「コリアディスカウント」を振り切り、事実上の島国から抜けだし大陸に繋がる時、享受できる利益は莫大です。
私たちが絶えず韓半島の平和を夢見るならば、私たちの想像力は韓半島を越え、ユーラシアを行き来することでしょう。
和解と協力の努力を止めないならば、強固な障壁はついに取り壊され、私たちが想像する以上の新たな希望と繁栄が始まるでしょう。

尊敬する国民の皆さん、
独立有功者と遺家族の皆さん、
海外同胞の皆さん。


私たちは植民地と戦争の廃墟の中でも、より良い未来に向けた情熱と夢を持ってきました。
恥ずかしくない発展をした国、私と隣人が一緒に豊かに暮らす国、分断を克服し平和を目指す国に向かって歩んできました。

外国に行くと誰もが感じることですが、私たちは自分が思うよりも、はるかに高い評価を受けています。
国際社会は、経済と防疫、民主主義と文化芸術をはじめとする多くの分野で大韓民国が見せる能力と成功に驚いています。
私たちは以前の大韓民国ではありません。
私たちみずからが自負心を持って、新しい夢を見る番です。
その夢に向け、国民の皆さんが共に進んでいくことを願います。

自由と平和に向けた強靭な意志と、共同体のための献身、連帯と協力の偉大な遺産を遺してくれた先烈たちに、心を尽くし尊敬を捧げます。

ありがとうございます。